SSブログ

エッセー  国会前庭園に国立の追悼施設を


    [写真説明]国会を正面に見て、右が憲政記念館の一角、左が国会前和式庭園。
「国会前庭園」に戦没者記念碑を

 小泉首相は今年9月、任期を終える。小泉氏は2001年(平成13年)に登場する
や、「聖域なき構造改革」を掲げ一見、改革の旗手であるかのような一種新鮮なイメー
ジを国民に与えた。しかし「小泉劇場」と呼ばれたパーフォーマンスを幾ら繰り出し
ても、その内実は超保守主義の政治であり、周辺国とりわけ中国および韓国との関係
をすっかり冷却させた。その最大の要因が首相が何回も繰り返した「靖国神社参拝」
であることはいうまでもない。
 靖国参拝で中国および韓国から抗議を受けるたびに首相は、「平和を祈りに行って
何が悪い」と開き直り。続いて応酬。このような不自然な状況を何とか改めなければ
ならないと言う思いが、小泉内閣で当時官房長官を務めた福田康夫氏の「追悼・平和
祈念のための記念碑等施設の在り方を考える懇談会」(座長・今井敬経団連会長)設
置につながった。同懇談会は1年後、「報告書」を作成してその任務を終えた。同報
告書は現在、インターネットで「首相官邸」を検索すれば誰でも読むことができるが、
「要するに、国際社会の中で自ら一人のみで生きる国家という在り方がもはや困難に
なっている今日、日本は、他国との共生を当然の前提としつつ、追憶と希望のメッセー
ジを国家として内外に示す必要がある」という立場から、「本懇談会としては、21世
紀を迎えた今日、国を挙げて追悼・平和祈念を行うための国立の無宗教の恒久的施設
が必要であると考えるに至ったが、施設の種類、名称、設置場所等の検討項目につい
ては……施設の概要を指摘するにとどめることとした」というのが結論である。 2
005年11月、国会内に「国立追悼施設を考える会」(山崎拓代表)が発足し、自民、
民主、公明3党の130人が参加したのは、前記懇談会報告書を受けた動きだった。
それなのに、である。安倍晋三官房長官は同年暮れ、国立の戦没者追悼施設建設に関
する調査費を来年度予算に計上しない方針を表明した。小泉政権下では新たな施設を
つくらないとの意思表示である。「調査費を計上すれば、(韓国への)譲歩と受けと
られる」(朝日新聞)からだそうだ。何とも恥ずかしい「唯我独尊」政権だ。
 そこで私は提案したい。国会の前庭に国立追悼施設をつくるのが最良だと。
 国会議事堂の正門を出ると大通りは皇居桜田門に至るが、この大通り右手は国会前
庭和式庭園、左手は国会前庭洋式庭園と呼ばれる広大な敷地が広がっている。このう
ち洋式庭園は一部が憲政記念館として使われているが、和式庭園は現在、訪れる人も
少ない空き地となっている。衆院事務局に聞くとそれは正式には前庭南地区といい、
その面積は2万0412平米もある。由来の記録はないというので、元衆院事務局幹部に聞いた。
 「あそこには戦後、木造2階建ての衆院議員会館が2棟建っていた。一時期、一角に
チャペルセンター(教会)が建ったのは、占領軍方針だったか。60年安保反対デモで
樺美智子さんが亡くなってから後、今の状態に変更された」と言う。国立戦没者追悼
施設というのは国賓が来日すると首脳会談に先立ち、何はともあれまず表敬訪問して
花輪を捧げる敬けんな場所となる。私は「靖国」はさておき、これ以上の適地はない
と考えるが如何か。(ジャーナリスト同盟報 06年1月号)


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。