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処刑された韓国人の名誉回復を [エッセー]


【写真説明】集会で真相究明に支援を求めて語る趙ヨンジュン氏(左手、マイクを持
つのが趙氏)
◎軍事政権に処刑された新聞社長の名誉回復求め集会
 一九六一年五月、韓国の朴正煕軍事クーデター直後に逮捕され、同年暮れに三二歳
の若さで処刑された新聞社社長趙ヨンス氏の名誉回復を求める集会が二月一八日、東
京・西早稲田で開かれ、約五〇人が参加した。在日韓国人でつくる「連帯フォーラム」
(呉世一代表)主催の「民族日報創刊四五周年記念集会」で趙氏の実弟趙ヨンジュン
氏(七一歳)らも来日参加した。趙ヨンス氏は韓国大邱市出身。五一年渡日して明大
に学び、韓国居留民団に勤めたが、六〇年の学生革命を機に帰国。翌年二月、「不正
腐敗告発・大衆の権益擁護・祖国の平和統一」を掲げた革新的日刊紙を創刊し人気を
得た。しかし間もなく登場した軍事政権に狙われて逮捕・廃刊に追い込まれた。1.
「北のスパイ李栄根」から資金援助を得た創刊。2.平和統一は北の存在承認が前提
であり、それ自体「容共的」--というのが逮捕・処刑の理由とされた。しかしその李
栄根氏はスパイどころか民団の有力者となり、死後、韓国政府から民間人で最高の栄
誉とされる「無窮花章」を叙勲されるなど、謎は深まっている。
 集会は韓国政府の「過去事整理委」に事件の真相究明と趙氏の名誉回復を求める要
請文を採択した。同フォーラムについては、www.minjok-ilbo.jpに詳しい。(長沼節
夫・ジャーナリスト)
(「週刊金曜日」3月10日号「アンテナ」向け)
【もうひと言】韓国では金大中時代を迎えて00年「民主化運動被害者の名誉回復と
補償委員会」や「疑問死究明委員会」などが出来たが、いずれも61~2年当時は対象外
だった。それで呉世一氏たちは、独自で趙氏の名誉回復運動を勉強会から始めたのだ。
集会の亜との懇親会で趙弟と話す機会があった。「兄を処刑したので遺体を引き取り
に来い」と言われた当時、兄は32歳、弟は28歳だったという。「1回絞首刑にしたが
死んでなかったのでもう1回処刑したと言われた」と悔しそうに語った。殺された兄
が生き返らぬ以上、趙兄の国家レベルでの名誉回復の日が1日でも早からんことを祈
るばかりだ。■


ユンちゃんを支援しよう! [エッセー]


多数の「ユンちゃん」苦しめる枯葉剤
村山カメラマンを迎えるに当たって
   
(本文)私がベトナム人枯葉剤被害者に初めて会ったのは一昨年、インド・ムンバイ
で開かれた「第4回世界社会フォーラム」のテントの中でだった。「もう一つの世界
は可能だ」を合言葉に、世界各告の市民団体や個人が集まって4日間、数百のフォー
ラムが続いていた。その一角に目玉が今にも飛びだしそうに見開いた少女、手足が木
の枝のようにあちこちに曲がった少年らのパネル写真が並び、「これは米軍による侵
略の遺産だ。枯葉剤フォーラムに参加せよ」という呼びかけ文が書かれていたのだ。
その日会場のテントに行くと、ひ弱い感じの小柄な少女がいた。「お嬢さんは幾つ?」
と聞くと、16歳だと言う。驚くべき成長不全だ。彼女は登壇して語った。
 「私の父は戦争が終わり、戦場から戻って結婚した。5人兄弟姉妹のうち3人が知
的障害・盲目・骨格障害の被害者だ。村は障害者の子供で溢れている。私がここに来
た理由は、私がたまたま自分で歩けるからだ」と。彼女トゥン・チタン・ビンさんは
体が余りに小さいので演壇に顔の半分までが隠れていた。
 ビンさんの前に登壇したハノイ医大の女性教授は、「枯葉剤被害の実態は幾ら説明
してもし足りない。ここに来られた方、是非ホーチミン市のツドー病院を訪ねて、自
分の目で見て欲しい」と訴えた。米軍はベトナム戦争中、敵の補給ルートを断つため
に大量の枯葉剤をまいて森林を枯らした。それに含まれていたダイオキシンは超微量
でも生物の遺伝子を変化させてしまう強力な毒性を含む。散布を浴びた兵士に変化が
なくとも、その子孫に遺伝子変化が起きる。既にベトナム戦後30年余。いまなお新た
な被害者が生まれつつあるという。「これ以上残虐な大量破壊兵器があろうか」とい
うベトナム関係者の言葉が忘れられない。
 今回、東京の写真展で紹介される被害者ユンさんは、村山康文氏がベトナムを取材
撮影中の01年、農村地帯でたまたま出会った少女だ。幼少期はごく普通だったが少女
期になって、顔の右側が大きく垂れ下がり、右は目も耳も不自由になったという。村
山氏らがネットに掲載しているユンさんは気の毒で正視しにくいが、画面左側(顔の
右半部)を手で覆うとそこには可愛いユンさんが笑っている。日本に呼べば手術が可
能らしいと知ったジャーナリストがマスコミで訴えようとしたが、新聞側が直前にし
り込みしたという。余りの醜さに(ユンさん、こういう表現を許されたし。)一般読
者から苦情が出るのを恐れたのではないか。我が国では勇気ある読者は育っていない
のだろうか。私はそうは思わない。近く村山氏のレンズを通してだが、ユンさんと正
面から向かい合いたい。(了)(ジャーナリスト同盟報 06年3月号)
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▼ジャーナリスト同盟勉強会
 本年の第一回勉強会を3月24日に開催します。各位ご参加ください。同盟勉強会は
これまで長く「国会記者会館」を会場としてきましたが、最近新たにオープンした
「日本地域紙図書館」の会議室を利用させていただき、こちらでも開催します。同図
書館は「市政会館」地下1階にあります。日比谷公会堂と同じ建物で入口は反対側
(国会通り側)ですのでご注意ください。今回は「ユンちゃんを支援する会」と共催
です。
・報告者=村山康文氏(フォトジャーナリスト、ユンちゃんを支援する会)
・テーマ=枯葉剤被害者ユンちゃんと出会って
・時=3月24日(金)18時半から20時半
・会費=無料(支援カンパは自由)。懇親会参加の方はプラス5百円
・問い合わせ先=「ユンちゃん--」事務局(電090-4688-0963)または
同図書館長沼(03-3591-7654)迄。


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