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警察は安倍より話せる? [エッセー]

「反安保」国会行動で数十年来の盛り上がり

 「戦争法案廃案!安倍政権退陣!8.30国会10万人全国100万人大行動!」という長い名前の集会に出かけた。空模様も怪しいしどうしようかという、弱い心が始めのうち、自分の内部で勝っていたが、ネットメールをチェックしているうち、どなたかの、「今日の天気は変えられません。しかし明日の政治は変えられます」という呼びかけに出会って、背中を押されたような気がしたので。

 早くも地下鉄「国会議事堂前」駅で下車したときから、構内は凄い人混みで身動きも取れない。人数の多さもさることながら、お巡りさんが意地悪して議事堂側の地上への通路に阻止線を張っていたからだ。しかし乗客の抗議に押されて、遂に突破された。議員会館前の歩道も参加者の人波でなかなか前に行けない。それでも少しずつかき分け、1時間以上かけて国会議事堂正面に出た。おお、凄い光景が!議事堂正面からお壕や警視庁に向けて緩やかに傾斜してゆく50メートル道路が参加者の人波で覆われているではないか。かなり昔の「50年安保反対闘争」以来の「解放区」が出現していた。

 勿論、警察側が人々を歩道だけに押し込めようとしたら、流血の惨事を引き起こしていたに違いない。しかし最悪の事態を避ける柔軟さが、主催者側にも警察側にもあったからこそ、実現した「解放区」だろう。この柔軟さを決して反対意見を聞かない安倍政権も学ぶべきだ。土砂降りにならず優しく降ってくれた天の配慮にも感謝した。(2015.9.3 記す)

[] [エッセー]

日本の今は「アスピリン・エイジ」に似て……

 台風がらみの土砂降りの東京・日比谷公園に集まった5500人が9月9日午後、「戦争法案反対」「雨にも負けず、安倍にも負けず」と叫んでいた。どの世論調査でも反対が賛成を上回る「平和安保」という名の「戦争法案」が、国会を通過・成立しようとしている。許せないことだ。巨大与党が総裁選を実施しようとしたが、強力な総裁の前に、対抗馬として立とうとしたライバルは十分な推薦人が集まらず無投票に。ライバル女性は会見で、「全会一致は無効と同じ」とつぶやいた。日本は今、第1次と第2次2つの世界大戦を挟んだ時代の米国の、いわゆる「アスピリン・エイジ(時代)」を追体験しているのかも知れない。この言葉の名付け親はイザベル・レイトン編『アスピリン・エイジ』(早川書房)に由来する。中央ではまったく無能な大統領がもてはやされ、やがて消えていった。地方ではアル・カポネらやくざがのさばっていた。ボストンで捕まった無政府主義者について、多くの人は「無実だ」と答えたが、権力側は「無実を信じる人々の陰には、有罪と信じるもっと多数の人々がいる」という論理を利かせて、処刑してしまった。かくのごとく正気を失ったアメリカがある日、ふと目覚めた。それは日本が真珠湾を奇襲し、対米宣戦布告した日だったという。この狂気の時代にアメリカが生み出したのはたった1つ、万能薬のアスピリンだったという。この時代に生まれた多数の優れたルポルタージュを集めたのが冒頭に触れたこの本だ。歴史は繰り返すというがどこか似ている。ジャーナリストは今、日本版「アスピリン・エイジ」を書く時代に差し掛かっている。(

近日再開 [エッセー]

みなさん、おげんきですか。長い間ご無沙汰しました。あすから、再開します。よろしく。

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ポトナム12月号詠草 [短歌]

ポトナム12月号詠草

・お互いに手を握り合い両国の夢を語れり北京の夜更け
・日中の友好こそは将来の世界平和の要と言い合えり
・中国の友らと終日散策す見上げて清けし北京秋天
・幼子に処刑直前残ししとう抗日の母の遺書に涙す
・大声で我が名を呼んで駆けつけしは中国人記者二十年ぶり
・お互いに「行かずか」「来ずか」「どうせずか」と気遣い合いし日まな裏にあり

ポトナム11月号詠草 [短歌]

・「菅は駄目」「小沢も駄目」と騒がしく言い募る中 秋は来にけり
・「日本に哲学宰相待望す」と我に語りし金大中氏の声
・弁明と思わば苦痛この誤解語らずに措くこれも俺流
・不遇でも貢献こそが人生の美学と我に囁きし声
・「つひに行く」と辞世を詠みし人ありてこのごろしきに思い出ださる
・まあこんなところだろうか俺なりに努めてみたがお迎えが来た(辞世)


歌誌ポトナム2010年6月号向けエッセー [エッセー]

短歌同人誌ポトナム「回転扉」6月号向け。
テーマ=北原白秋の短歌「草わかば色鉛筆の赤き粉のちるがいとしく寝て削るなり」を鑑賞する
(見出し)白秋のパレット 長沼節夫
  北原白秋。とりわけ青年時代の作品は様々な色彩感覚に溢れている。それはさながら水彩画家のパレットだ。
 短歌だけではない。例えば詩。「色紅くかなしき苺、葉かげより今日も呼びつる/『口にな入れそ』(『思ひ出』)また例えば唱歌。「利休鼠の雨がふる」(城ヶ島の雨)また例えば散文。「遂には皐月の薄紫の桐の花の如くにや消えはつべき」(『桐の花』巻末)そしてとりわけ第1歌集『桐の花』作品群。「黄なる月の出」「薄青き新聞紙」「ヒヤシンス薄紫に」「たんぽぽの白きを」「あかき夕暮れ」「くれなゐのにくき唇」「青きリキュウル」「黒き猫」「紫の日傘」など何とおびただしい色の洪水であろうか。『桐の花』所収約400首中に色彩が登場するのは何首、などと数えて論じた人もいるに違いない。しかし白秋は後年になるほど色彩から遠ざかり、遂には視力を失って果てる。色彩は白秋の青春と殆ど同義語と言える。
 さて今回の「草わかば~」である。作者は春の芝生に寝そべって赤の色鉛筆を削っている。今は昔、鉛筆を削ること自体、一種心ときめく時間だった記憶がある。凡人の小生はそれで終ったが流石、白秋は違う。若草の上に赤の芯を削り散らして、鮮やかな色の対照をいとおしんでさえいる。白日の下にあっては官能的な幻想さえ感じさせるのだ。おわり。

ポトナム2010年7月号詠草 [短歌]

・化粧箱に入れ仕舞いたる母の骨時々振りて母を思えり
・ふるさとの駅に降りれば先ず向かう父母眠る駅近の墓
・それ見ろと言わんばかりの自民党基地反対の成らぬを嗤うか
・沖縄の民に犠牲を押しつけて本土の安全祈るやましさ
・軍艦を撃沈されど戦争に至らぬ今を我は嘉する
・南北のどちらかが嘘をついたのか朝鮮半島また藪の中

ポトナム2010年8月号詠草 [短歌]

・もう3つ赤ちゃんの名前考えたと幼も妹誕生を待つ
・ケータイで届いた胎児のポートレートそこまでやるのか現代医学
・「そっくりね」「ここはパパ似」と胎児写真の評定(ひょうじょう)我加われずおり
・「どこへ行く」「どこでもいいよ」と古里の友とのドライブ話は尽きず
・「否!」と言う者を皆で排除する日本人は金太郎飴
・お互いに「否!」とう言葉を戒めるわれらの中の安保体制

ポトナム2010年9月号詠草 [短歌]


100801ポトナム9月号詠草
・「もの思う」ことをこの頃めっきりとせざりしことをしきりに思う
・かにかくに日々は過ぎゆく夏の夜の線香花火の残り火のごと
・祖先より語り継ぎたる天狗党をメモ取り聞くは平成のわれ
・幕末にわが身を徐々に置くごとく研究室に古文書めくる
・伊那路なる飯田市歴史研究所その静けさに風そっと行く
・死ぬことを許されぬごと樹木医に生かされあなたは幸せですか



ポトナム10月号詠草 [短歌]


・選評と選歌の紙面に追悼文 死しても働く河野裕子は(毎日)
・十年前禿山だった北朝鮮いま青々と眼下をよぎる
・ピョンヤンで日本の戦争被害聴く何百万人拉致されたと聞く
・外国の基地ひとつ持たぬ朝鮮の人みな胸を張りて歩める
・滔々と大河は行けどピョンヤンの風さわやかに柳を揺らす
・米軍の基地をたくさん抱えいて「自由の国」と誇る空しさ

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